エンジニアの求人を探していると、「SES」「SIer」「社内SE」など似たような言葉が並び、混乱しませんか。
IT業界が初めての方ほど、そもそもの違いが分かりにくいはずです。
そのため今回はSES業界の転職事情について徹底解説していきます!
\こんな人におすすめ/
- 求人票で「SES」「SIer」「社内SE」など似た言葉の違いが分からない
- 「SESはやめとけ」と聞いて、転職して大丈夫か不安
- 優良なSES企業をの見つけ方を知りたい
- SESとSE・SIerの違い
- 「SESはやめとけ」と言われる理由と実態
- 優良SES企業を見分ける6つの方法
- 転職後に自社開発・SIerへキャリアアップできるか
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そもそもSESとは?「SE」「SIer」との違い
SES(システムエンジニアリングサービス)の意味
SESとは、System Engineering Serviceの略で、エンジニアが自社ではなく客先に常駐し、技術力を提供する契約形態のことです。
契約上は「準委任契約」と呼ばれる形が多く、成果物の完成ではなく、稼働した時間・技術力の提供に対して対価が支払われる点が特徴です。
求人票で「SES」と書かれている場合、基本的には客先常駐の働き方を指します。
<SES関連でよく聞く言葉>
客先常駐とは
自社ではなく、取引先の企業に常駐して担当する仕事のこと
案件とは
担当する”業務(プロジェクト)”のこと
案件単価とは
その案件について企業間で取り決める契約金額(月単位が一般的)
「この現場に1人派遣するなら⚪︎万円いただきますよ〜」という考え方と同じ
待機期間とは
案件と案件の間で仕事が発生していない期間
帰属意識とは
自社に対する仲間意識・一体感
「あれ?いつも客先のオフィスにいるけど自分の会社どんなところだったっけ?」=帰属意識が低い
1次受け/2〜3次受けとは
発注元(エンド企業)から数えて何番目の会社が契約しているかを示す商流の位置。1次受けは発注先企業と直接契約、2次受け・3次受けは間に他の会社を挟む形
※これが4〜5次受けになってくると「東京オリンピックの中抜き事件」と同じことが起きる
「SE」「SIer」とは何が違うのか
名前が似ているため混同されがちですが、指しているものはそれぞれ違います。
- SE(システムエンジニア):職種そのものの名前
- SIer(エスアイヤー):システム開発を受託する企業・業態の呼び方
- SES:客先常駐という契約・働き方の呼び方
つまり「SEという職種の人が、SIerという受託企業に所属し、SESという契約形態で客先に常駐する」というように、3つは別の軸の言葉です。ビジネスモデルとしてのSES・受託・自社開発の違いをより詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
▶ ITエンジニアの役割は『会社の種類』で決まる!SES・受託・自社の違いを徹底解説
SESは「やめとけ」と言われる理由と実態

なぜ「やめとけ」と言われるのか
SESが「やめとけ」と言われる背景には、次のような実態があります。
- 客先常駐のため配属先を選べないことがある
- 案件によっては「テスト」「運用保守」など特定の業務に固定されやすい
- 待機期間(案件と案件の間で仕事がない期間)に給与が減額される企業がある
- 自社ではなく客先で働くため疎外感を感じ、自社への帰属意識を感じにくい
これらは実在する課題であり、事実として無視できません。具体的内容を以下で説明していきます。
客先常駐のため配属先を選べないことがある
求人票に「案件選択制」と明記している企業もありますが、実際に選べる案件の幅は経験値に大きく左右されます。
そもそも案件が自分次第で選べると言っても「未経験者が選べる案件」は限りなく少ないです。
基本的には経歴のあるエンジニアの方が自由に選べる案件が多いと思っていいでしょう。
案件によっては「テスト」「運用保守」など特定業務に固定されやすい
未経験からの入社で、いきなり開発案件に配属されるケースはほとんどありません。開発案件に必要な知識・技術量は多く、準備が整わないまま飛び込むと負荷が大きくなりすぎてしまうためです。
そのため、テスト・運用保守といった工程からスタートし、少しずつ実務スキルを積み上げていく流れが一般的です。
ただし、同じ案件に2〜3年以上固定されたままなのであれば話は別です。
SESの一番良いところは複数の案件に携わりなら新しい業務知識に触れてマルチスキルを身につけられるところです。
案件をローテーションさせてもらえない状況が続く場合、営業担当のサポート体制に課題がある可能性も考えられます。
待機期間中に給与が減額される企業がある
待機期間(案件と案件の間で仕事が発生していない期間)の扱いは、企業によって大きく異なります。
<会社による違い>
A社:待機期間は完全に給料ゼロ
B社:待機期間は給料が出るが、その分ボーナスから引かれる
C社:待機期間は基本給の8割のみ
D社:待機期間は給料10割貰える
なぜ会社によってこのように対応が違う場合も…
なぜなら待機期間中の給与を手厚くしすぎると働く気のない労働者が「わざと案件を選り好み」「わざと案件の面談に落ちるようにする」などして1年以上の待機期間を得ようとする、スーパー窓際職員が発生しかねないからです。
そのため企業側は、こうした事態を防ぐ目的も兼ねて、待機期間中の給与水準を設定していると考えられます。
一方で、待機期間中も給与を100%保証している企業は、営業担当が案件獲得に向けて手厚くサポートしてくれる傾向があるとも言えます。
ただし、いったん案件が決まった後に「客先の環境が合わない」「別の案件に移りたい」となった際、営業担当が親身に対応してくれないケースも見られるようです。
自社ではなく客先で働くため、帰属意識を持ちにくい
案件先で働くSESでは、通常の企業のように固定席のあるオフィスに毎日通うわけではないため、孤独感や所属意識の薄さを感じやすいのは事実です。
ただし、企業によっては
<会社のイベント>
- 月1回程度の帰社日(所属会社に出社する日)
- 不定期な社内イベント
- 参加自由の勉強会
- 営業担当や上司との定期的な面談
といった形で、交流の機会を用意しているところもあります。
一方で、社内の人間関係が薄い分
・面倒な人間関係トラブルに巻き込まれにくい
・他の会社員のように無理に飲み会へ参加する必要がない
という良い側面もあります。
良し悪しは働き方の好み次第といえるでしょう。
SESは「未経験からの登竜門」でもある
SESは未経験者の受け入れに積極的な企業が多く、実務未経験からエンジニアとしての経験を積む入り口として選ばれやすい業態でもあります。
<SESのいいところ>
- 案件数が多く、幅広い技術・現場に触れられる
- 案件ごとに新しい現場の人と関わるため、社外に広い人脈を築きやすい
これらの点は、経験の幅や人とのつながりを広げたい人にとって、メリットにもなります。
つまり「SESそのもの」が良い・悪いというより、企業によって環境の差が大きいことが実態に近いといえます。
実は、ネット上でよく見る「SESはやめとけ」という声も、SESに限った話ではなくSIer・社内SEなど多くのIT職種でも同じように見かけます。
特定の契約形態や職種だけが特別に悪いというより、企業ごとの環境の当たり外れが大きいことの裏返しだと捉えた方が実態に近いと思われます。
だからこそ、言葉の意味を正しく理解した上で、これから解説する「見分け方」の視点を持つことが重要です!
優良SES企業を見分ける6つのチェックポイント
同じSESでも、企業によって働きやすさは大きく変わります。求人票や面接で確認しておきたい6つのポイントを紹介します。
1. 発注元・1次請け案件が中心か

案件の商流(何次請けか)は、単価や仕事内容に直結します。
取り扱う案件の商流が
・案件発注元(エンドクライアント)の直案件か、
・1次請けの案件か
が中心の企業ほど、単価水準が高く、裁量のある仕事を任されやすい傾向があります。
なぜなら案件発注元(エンドクライアント)や1次請け企業と直接契約する「エンド直」案件は、間に入る会社が少ない分、中間マージンが差し引かれにくく、単価水準が高くなりやすいからです。
一方、2次請け・3次請けと商流が深くなるほど、間に入る企業の数だけマージン(仲介手数料)が重なり、同じ案件でも実際に受け取れる単価は下がっていきます。
しかし求人票だけでは商流の深さまで分からないことが多いです。
2. 単価・案件内容が開示されているか

SESの案件単価(客先は1人を配属するのに毎月⚪︎万払っているのか)は基本的に開示されないことが多いです。
しかしたまに案件単価を労働者に開示するSES会社があり、そういったSES企業は、社員との情報格差を作らない姿勢の表れといえます。
なかでも「還元率」の高さは、求人選びの分かりやすい判断材料になります。
還元率が高い求人は月給に反映されやすく、自分の単価を把握できることで「これだけ稼いでいるんだ」とやりがいにもつながるでしょう。
ただし、ここで少し立ち止まりたいポイントがあります。
「還元率80%」を謳う高還元求人の中には、社会保険料の企業負担分(額面の約15%相当)を分子に含めて計算しているケースが少なくありません。実際に手取りとして受け取れる割合で見ると、65〜70%程度に落ち着くこともあります(出典:SES還元率の相場は?IT業界12年・SES事業6年の経営者が実態を全公開)。
そのため、あれ?実は他の企業と給料変わらないかも…なんてことも。
さらに、未経験からのスタートだと、そもそも単価の高い案件に入ること自体が難しいという現実もあります。高還元率を掲げる企業であっても、未経験者に割り当てられる案件の単価は、決して高くないケースも多いのです。
そこで「高還元率」を謳うSES企業の面接では、こんな質問をしてみましょう。
<面接での質問内容>
- 広告に記載されている「高還元⚪︎%!」には社会保険料・交通費は含まれているか
- 直近入社した未経験の方は、平均するとどのくらいの給料水準か
- 待機期間の平均はどのくらいか
数字ベースで具体的に聞くことで、「高還元率」という言葉の実態が見えてきます。
3. キャリアパス・評価制度が明確か

入社後、どんなスキルを積めばどう評価され、給与が上がっていくのか。この道筋が明確な企業は、社員の定着率も高くなる傾向があります。
たとえば
- 指定された資格を取得すれば給料がUPする
- 案件先から良い評価を得られたら給料UPする
- 案件経験○年で単価○万円以上を目安に昇給
評価制度がある程度明確になっていることはとても大切です。
逆に「頑張り次第」としか説明されないなど、
評価基準が曖昧だった場合は、上司の機嫌・能力次第で不当な評価を受けてなかなか給料UPしないなんてことも…
4. 研修・教育体制が整っているか

特に未経験からの入社では、現場に出る前の研修期間の有無・内容が重要です。教育に投資している企業は、社員を長期的な戦力として育てる姿勢がある企業だといえます。
研修のスタイルは大きく3つに分かれます。
- 数週間〜数ヶ月かけて集合研修で基礎を覚える「詰め込み型」
- 最低限の研修だけで早期に現場に出す「実践先行型」
- 入社して働きながら自分の時間で研修を進める「ゆっくりじっくり型」
などこちらも企業によって様々です。
「詰め込み型」は、短期間で研修を終わらせられ、かつ同期入職者との交流も図れるのが特徴です。最低限基礎を覚えてから現場に出るため安心です。
「実践先行型」はすぐに現場に出れますが、事前にIT知識・技術を持ってないと現場では結構苦労することも…。
しかし一番実践的な知識を短期間で急速に取得できる研修方法ともいえます。
「ゆっくりじっくり型」は研修が長期間及びますが自分のペースで進めていけるため研修内容についていけないと落ち込む可能性が少なく結果的に精神的ストレスが少ない点にあります
どちらが良い悪いというより、自分が現場に出る前に
- しっかり基礎を固めたいタイプか、
- 現場で学びながら成長したいタイプか、
- 精神的な負担をかけずに自分のペースで頑張りたいか、
で自分に合う研修スタイルは変わってきます。
5. 社員の年齢層・定着率

30代・40代のエンジニアが一定数在籍している企業は、社員が長く働き続けられる環境が整っている一つの目安になります。逆に20代ばかりが目立つ企業は、離職率が高く、人がすぐに入れ替わっている可能性も考慮しておきたいところです。
SES企業は世間一般的に「エンジニア未経験者のIT業界への入り口」とされており、SESを数年経験してその後別企業にキャリアアップしていく人が多いです。
そのため職員は比較的若者になってしまうこともあるのですが、やはり30・40代が一定数在籍しているということは
<こんなことが推測できる>
- 業務における精神的ストレスが少ない
- ライフワークバランスが整ってる
- 長年滞在しても構わないという何かしらの魅力がある
と推測・分析できます。
6. 待機期間中の給与保証があるか
案件と案件の間の待機期間に、給与が減額されるのか、通常通り支払われるのかは、企業によって対応が分かれます。
先ほど解説したように、
・待機期間中の給与保証の有無
・その間の営業担当のサポート体制
まで確認しておくと、入社後のギャップを防げます。求人票や面接で必ず確認しておきたいポイントですね。
SESから自社開発・SIerへのキャリアアップは可能か

SESで積める経験の幅
SESは案件ごとに現場が変わることが多く、短期間で複数の技術・業界に触れられる点が特徴です。この経験の幅は、その後のキャリアの選択肢を広げる土台になります。
また複数の現場で働いた場合は、本来出会えなかったであろう他企業の方と関係性やコネを作ることができ、将来フリーランスを目指している方には将来につながる良い環境ともいえます。
ステップアップの実例パターン
SESで実務経験を積んだ後、自社開発企業やSIerへ転職するというキャリアパスは珍しくありません。
「まずSESで技術と現場経験を積み、実績を作ってから自社開発やSIerへ移る」という段階的なキャリア形成は、未経験からのスタートとして現実的な選択肢の一つです。
ビジネスモデルごとの働き方の違い(評価基準・開発手法など)を詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご確認ください。
▶ ITエンジニアの役割は『会社の種類』で決まる!SES・受託・自社の違いを徹底解説
未経験からSESへ転職する4ステップ

実際に転職活動を始める際の進め方を、4つのステップに整理しました。
まずは「SESで何を身につけたいか」を明確にします。幅広い経験を積みたいのか、特定の技術(インフラ・Webなど)を深めたいのかによって、選ぶべき企業や案件の傾向が変わります。
企業HP・ブログ・SNSで雰囲気やどういった人が働いているかを確認します。また求人口コミサイト(OpenWorkなど)で実際に働いた人の意見を聞くことも大切です。信頼できる企業を見つけて応募しましょう。
未経験の場合、ITパスポートや基本情報技術者のような基礎資格の学習、簡単な成果物(ポートフォリオ)の用意があると、選考での説得力が増します。
面接では、前章で紹介した6つのチェックポイントに関わる質問を、遠慮せず確認しておきましょう。
・案件は何次請けが中心ですか
・案件のアサインは希望を考慮してもらえますか
・待機期間中の給与はどうなりますか
・研修制度はどういった内容ですか
これらを事前に確認しておくことで、入社後のギャップを減らせます。
SES転職に関するよくある質問(Q&A)
まとめ:SES転職は「やめとけ」で終わらせず、見分け方を知ることが大切
SESは、企業によって環境の差が大きい業態です。「やめとけ」という声だけで判断するのではなく、
- 商流
- 単価の開示姿勢
- 教育体制
といった見分け方を押さえておくことで、後悔しない転職先選びに近づけます。





