要件定義を任されたものの、何から手をつければいいのか分からない。クライアントへのヒアリングにも、何を聞けばいいのか自信が持てない。そんな悩みを抱えている人は少なくありません。この記事では、飲食店オーナーからオンライン予約システムの開発を依頼された場面を例に、要件定義を進める基本的な4つの手順と、ヒアリングで押さえておきたいポイント、つまずきやすい失敗パターンを解説します。
- 要件定義を進める、基本的な4つの手順
- 要件定義のヒアリングで、押さえておきたいポイント
- 要件定義の進め方で、つまずきやすいポイント
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システム要件定義を進める、基本的な4つの手順

もし飲食店オーナーから「ネットで予約できるようにしてほしい」と依頼を受けたとき、いきなりヒアリングを始めても、話があちこちに広がってしまい、うまく要件をまとめられません。そのため要件定義は、次の4つの手順で進めると整理しやすくなります。
- 現状の業務や課題を整理する
- あるべき姿(ゴール)を明確にする
- 必要な機能・条件を洗い出し、優先順位をつける
- 要件定義書としてまとめ、関係者の合意を取る
①現状の業務や課題を整理する
最初に行うのは、現状の業務がどうなっているかを整理することです。飲食店の例であれば
「1日に何件くらい電話予約を受けているか」
「予約の聞き間違いによるトラブルがどの程度起きているか」
といった現状を確認します。現状を整理せずにいきなり「欲しい機能」を聞き始めると、本当に解決すべき課題を見失ったまま話が進んでしまいます。
②あるべき姿(ゴール)を明確にする
現状が整理できたら、次に「この開発によって、どんな状態になっていたいか」というゴールを明確にします。
「電話対応にかかる時間を減らしたい」なのか、「予約ミスによるクレームをなくしたい」なのか、オーナーが本当に実現したいことを言語化しておくことで、この後の機能の取捨選択がぶれなくなります。
③必要な機能・条件を洗い出し、優先順位をつける
ゴールが定まったら、それを実現するために必要な機能や条件を洗い出します。このとき、思いついた機能をすべて同列に扱うのではなく、優先順位をつけることが重要です。
- 優先度が高い例:
予約の受付機能、予約内容の確認機能 - 優先度が低い例:
ポイント機能、SNS連携機能
限られた予算や期間の中では、優先度の高いものから着手できるよう整理しておくことで、後の判断がスムーズになります。
④要件定義書としてまとめ、関係者の合意を取る
最後に、ここまで整理してきた内容を要件定義書としてまとめ、オーナーをはじめとする関係者に確認してもらい、合意を取ります。要件定義書の具体的な書き方や必要な項目については、要件定義書の書き方を扱った記事で詳しく解説しています。
この4つの手順を押さえたうえで、次はヒアリングそのものの進め方について見ていきましょう。
システム要件定義のヒアリングで、押さえておきたいポイント

4つの手順のうち、特に難しく感じられやすいのが、現状整理や機能の洗い出しのもとになる「ヒアリング」です。ここでは、ヒアリングで押さえておきたい2つのポイントを紹介します。
「何が欲しいか」だけでなく「なぜ必要か」まで聞く
オーナーから「予約をキャンセルできるようにしてほしい」という要望が出てきたとき、その機能だけを聞いて終わらせるのではなく、「なぜその機能が必要なのか」まで踏み込んで聞くことが大切です。
- 「何が欲しいか」だけを聞いた場合:
キャンセル機能を作ればいいと考え、無料キャンセルの仕様で実装してしまう - 「なぜ必要か」まで聞いた場合:
「当日キャンセルによる仕入れロスを減らしたい」という背景が分かり、当日キャンセルには手数料を設定する仕様にたどり着ける
背景まで理解しておくことで、オーナーの要望をより正確に満たす仕様を提案できるようになります。
現場の担当者と決裁者、両方の意見を聞く
もう一つ大切なのが、意見を聞く相手を一人に絞らないことです。飲食店の例であれば、実際に予約対応をしているスタッフと、オーナー(決裁者)とでは、見えている課題が異なることがあります。決裁者だけにヒアリングして進めてしまうと、現場の実情に合わない仕様になってしまうことがあります。現場の担当者からは日々の業務での困りごとを、決裁者からは経営上の狙いを、それぞれ聞いておくことで、双方が納得できる要件に近づけます。ヒアリングのコツを押さえたうえで、次は多くの人がつまずきやすいポイントも確認しておきましょう。
システム要件定義の進め方で、つまずきやすいポイント

要件定義に慣れないうちは、進め方を知っていても、実際にはつまずいてしまうことがあります。代表的な2つのパターンを紹介します。
ヒアリング内容をそのまま要件にし、実現性を確認していない
オーナーから出てきた要望を、そのまま要件として要件定義書に書いてしまい、実現できるかどうかを確認しないまま進めてしまうケースです。たとえば、「予約と同時に自動で会員ポイントを付与してほしい」という要望が、既存の会員システムとの連携が技術的に難しいことに、実装段階になって初めて気づく、といったことが起こります。要望を聞いた時点で、実現可能かどうかを開発チーム内で確認しておくことが欠かせません。
途中で要望が増え続け、スコープが際限なく広がる
もう一つのつまずきが、ヒアリングを重ねるうちに「これもできますか」「あれも欲しいです」と要望が次々に追加され、当初決めていた範囲(スコープ)がどんどん広がってしまうケースです。
- スコープを決めていない場合:
要望が出るたびに対応を検討し、いつまでも要件定義が終わらない - スコープを決めている場合:
「今回の対象範囲に含まれるか」を基準に、追加要望を次のフェーズに回すかどうか判断できる
要件定義書にスコープを明記しておくことは、こうした際限のない広がりを防ぐためにも役立ちます。
まとめ:要件定義は、手順とヒアリングの質で成果が変わる
要件定義は、現状整理、ゴールの明確化、優先順位づけ、要件定義書としてのまとめという4つの手順で進めることで、迷わずに取り組めるようになります。あわせて、ヒアリングでは「なぜ必要か」まで聞き、現場と決裁者の両方の意見を聞くことを意識しましょう。実現性の確認とスコープの明確化を怠らなければ、途中でつまずきやすいポイントも避けられます。





